「えー……滝口くん!……ショック。」
「手繋いでる娘だれ?」
私と冬馬が校門をくぐると同時に多数の生徒からの視線と声を感じる。
改めて冬馬の人気ぶりを思い知らされる。
ほんとに隣が私で良いのかな……?
「おい!うるせーぞお前ら!どけどけ!」
聞き覚えのある声に私たちが顔を合わせると後ろから人だかりを割いて井出くんが私たちの前に現れる。
「見せ物じゃねーんだからお前ら散れ!」
井出くんは周りを見渡しながら野次馬をしてる生徒を追い払ってくれる。
そしてみんなは渋々であるもののバラけて校舎へ向かい出した。
流石は数少ない不良……。
井出くんにしか出来ない芸当だね。
「よう二人とも!上手くいったみたいだな……よく似合ってるじゃねーか。」
井出くんは少し照れ臭そうに頭をかきながら祝福の言葉をくれる。
私と冬馬がこうして居られるのも彼のおかげかもしれない。
良からぬ勘違いをした張本人でもあるけど、こうなった今は感謝しか出てこない。
