「そういえば井出くんから連絡来たのに何で冬馬が公園にいたの?」
楽しい時間ほど残酷なまでに過ぎていく。
すぐに帰らないといけない状況だった私は冬馬と手を繋ぎながら家を目指している。
右手がものすごく暖かい。
私よりも大きくて守ってくれそうな手。
「あいつが俺らの為に自分を捨ててまで計らってくれたんだ。」
「あれ、冬馬と井出くんて仲悪かったんじゃ?仲良くなったの?」
この前まであんなにバチバチだったのに。
私の知らないところで一体何があったんだろう……。
「ああ。あいつは……良い友人だ。」
「そうなんだね、井出くんは良い人だもんね。変に誤解してたよ。」
男の友情ってやつ?
私には全然分からないけど、きっと上手くやれるよ。
「普段から大人しくしてればもっと皆があいつを好きになると思うが、今のままがあいつらしくて良いよ。」
「確かに!井出くんはあれが一番似合う生き方なのかもね。」
井出くん、気持ちに応えられずごめんなさい。
おかげで今日は凄く楽しかったよ。
きっと私より素敵な人と結ばれると思う。
