「井出くんさっきは本当にありがとう……高かったでしょ……」
「良いって。俺といてくれたんだからそれくらい払うわ!」
長居もしたし、高校生からしてみれば決して安い金額ではないはずだよね。
それをあっさりと……私がいてもらって感謝しなきゃいけないのに。
「水野、明日は学校来いよ?来たくないのは分かるけど……待ってるから。」
「頑張って行くようにする、ありがとう。」
通い慣れたいつもの道ととちょっと違った帰り道で河川敷を歩く。
この暑い中の川の音は涼しげで心地いい。
でも井出くんとこういう道を帰るのはなんか不思議な感じ……。
「なあ……水野はマジで滝口の事が好きなのか?」
「ど、どうしたの急に……。」
井出くんは小石を蹴っていた足を突然止めて私にその質問をぶつけてきた。
それにいつもよりも真剣な顔……。
「こんな時に聞くのは違うかもしれねーけど……水野の気持ちが知りたくて。」
「……うん。好きだよ。大好きなんだ、冬馬のこと。」
井出くんは確かにいい人だよ。
気が利いて、楽しませてくれるし。
でも今の私には……胸の中に冬馬がいる。
