「行かせるわけねーだろ、待てよ!!」


「ちょっと!離してよ!冬馬!」


冬馬が追いかけて私の肩を掴む。
振り払おうとするも冬馬の力には勝てずグイッと引き寄せられる。


「おい!ちゃんと説明しろよ!……ってお前なんで泣いてるんだよ……」


「誰のせいよ……!!もう本当にほっといて……冬馬なんて嫌い!!大嫌い!!」


私は頭に血が昇り思ってもない事を叫ぶと、冬馬は「えっ……」と口にしながら力なく私の手を離した。


「さよなら……」


私だって悪いとは思うけど、今更どうしようもないよ……。


私も小声でそう告げると再び足を動かして学校を飛び出した。


行き先は?分からない。
でも学校なんかにいたくない。


さまよい果てよう。逃げよう。


最後に見えた冬馬の悲しむ顔だけが深く焼き付いている。


どうやってもこれは消せなかった。


「嫌い」という言葉に後悔したけど……
ああ言うしかない。


仕方なかったんだと私は言い聞かせて涙を流しながらアテもなく走り続けた。