「まだお互いの事何も分からないんだから簡単には付き合いませんよーだ!」
私は必死に強がる。
昔から冬馬にだけは負けたくないんだ。
簡単に思い通りになんてさせないよ!
「そう言うと思ったけどね、アキはどんな男が好きなん?」
さっきとは打って変わりまた真剣な顔つきを見せる。
「うーん……自分でもあまり分からないなあ……」
私はこれまでの人生で恋愛経験なんて無かったし、好きになった男子もいない。
小学生の時に冬馬に恋したくらい。
でもこの人が最初で最後と考えるとなんか悔しいような……。
「冬馬は?どうせモテるんでしょ。他に可愛い女の子たくさんいるよ」
私は現実に戻りそう言い切った。
目立たずごく普通の私と違って冬馬は所謂陽キャラだしカッコいい。
……認めたくないけど。
事実、女子達の話題は冬馬の事で持ちきりだ。
私よりも良い娘ときっとうまくいく。
どうせ私の出番なんて無いよ。
