啓太は一通り激を飛ばし終えると会社を後にした。

別に用事があった訳ではないが、会社にいると皆が気を使うと思ったからだ。

起業して3年。

正直、頭打ちだった。

思うように業績は上がらないし、新しい事業を手掛ける訳でもない。

当初の資金は底をつき、毎月、銀行の借り入れが増えていくのが現状だった。

何をするでもなく一日が終わった。

この日もいつものように馴染みの日本料理店に顔を出した。

飲み屋街から少し離れた場所で、50代の夫婦が切り盛りしている。

いつ行っても貸し切りに近いほど空いているので気に入っていた。

「社長さん、いらっしゃい!」

暖簾をくぐると大将が待ってましたと声をかけたきた。

「大将、今日も貸し切りかい?」

啓太は皮肉を込めて笑った。

「おかげさんで!社長が来てくれないと潰れますわ!」

大将は笑いながら冗談を返してきた。

しかし、あながち冗談ではないだろうと思っていた。

客数や客単価を考えると、本当にギリギリの所で保っている感じだった。

それでも楽しそうに経営している大将夫婦の力になれたらと啓太はいつも顔を出す。

「社長!元気がないねー!どしたの?」

「まあねー。色々あるよ!」

「そりゃそうだ!はいどうぞ!」

最近では注文はせず大将に任せていた。

テーブルには生ビールとカマの塩焼きが出された。