あっという間に時間が過ぎた。

一人、また一人と客が帰っていく。

店内に客がいなくなった頃、ママが顔を覗かせた。

「啓太さん、今日は楽しそうだね。」

「そう?いつもと変わらないよ。」

「全然違うよ。」

そう言うとママはゆりかをチラッと見た。

「意外だなー。」

ママがボソッと呟いた。

「何が?」

啓太はバツが悪そうに言った。

まるで見透かされているようで恥ずかしくなった。

「てっきりメグミかと思ったのに。」

ママがそう言うと、チーママのメグミがカウンターを片付けながらこちらに顔を向けた。

目が合うとメグミはプイッと顔を背けた。

それはリアルのそれだった。

メグミとは何度かアフターをする仲だった。

体の関係は無かったが、お互いに少し特別な関係だった。

いつ一線を超えてもおかしくなかった。

それも今日で終わりのようだ。

啓太は嫉妬や束縛が何より嫌いだからだ。

もうメグミに感情を持つことは無いだろうと思った。

「啓太さん。今日はもう帰るの?」

ゆりかが言った。

「今日は楽しかった。帰って寝るよ。」

「そっか。」

ゆりかは少し寂しそうな表情を浮かべた。

「シメのラーメン食べて帰るか?」

「うん。食べる!」

ゆりかが少女のような顔で笑った。