「水割りで良かったですか?」

新人らしき女性が聞いてきた。

啓太は「うん。」と答えた。

ぎこちない手付きでウイスキーのボトルを扱う。

ボトルのネックには“イケメン12”と書かれていた。

それは12本目のウイスキーと言う意味だ。

中には〇〇さん36という強者もいた。

何気に本数の数は常連のレベルのような物で拘っている客も多かった。

啓太に拘りは無かったが、少ないよりは多い方が良いとは感じていた。

数分すると「おまたせー」とゆりかが姿を現した。

そこには、先程までの幼い少女の姿は無かった。

真っ赤のドレスに身を包み、胸元がザックリ割れて谷間がのぞいていた。

啓太は目を背け、「がっつり飲み屋の姉ちゃんになったな!」と言ってタバコを咥えた。

新人の女の子が慌ててライターを取り出す。

啓太は同時にジッポを手に取った。

ゆりかは新人の前に手を差し出し、ライターを静止させた。

キィン、ジュポ。

ほのかに甘い香りとオイルの匂いがテーブルに舞った。

「かっこいいジッポだね。」

ゆりかが言った。

「安物だよ。」

「値段じゃないよ。なんか様になってた。思わずライター止めちゃった。」

「好きなんだよ。この音と匂いが。」

啓太はそう言って、キィン、ジュポッとジッポに火を灯した。