「運転者さん。15ビルのアルテミスまでお願いします!」

ゆりかが店を伝えて驚いた。

アルテミスは啓太が通っているラウンジだったからだ。

「え!?アルテミスなん?」

「そうだよ。知ってるの?」

「知ってるも何も常連だよ。」

「そうなんだ。世の中って狭いね。」

ゆりかはまたニコッと微笑んだ。

笑った顔がある女優さんに似ていたが名前が思い出せなかった。

店に着くと、いつもの見慣れた光景だった。

多少古くなった15階建てのビル。

エレベーターが4箇所あり、中には大き目の姿見があった。

通いなれた店なのに、隣にゆりかがいる事で何故か緊張した。

カランカランとドアのベルが鳴る。

一斉に女の子の視線が玄関に向けられる。

「あー!啓太さーん!いらっしゃーい。」

聞き覚えのある声が四方八方から飛んできた。

啓太の後ろからゆりかが付いて入る。

するとママが驚きの表情を浮かべた。

「え!ゆりかの同伴って啓太さん?」

「あ、はい。」

「えー!なんで?」

ママに続いてチーママのメグミも駆け寄ってきた。

「啓太さんなんでゆりかと?知り合いだったん?」

メグミが凄い勢いで聞いてきた。

それもそのはずだった。

アルテミスで同伴したのはこれが初めてだったからだ。