日が傾き始めるまで、私たちは波間ではしゃいで、存分にハワイの陽光と潮風を楽しんでから、別荘に戻った。
そして、夕暮れ刻。
海に面したリビングの窓を開け放って、汐の香りを含んだ風を全身に浴びながら、九条くんと二人で白いソファーから、海に落ちて行く紅い夕陽を眺めていた。
「ねえ、理恵」
九条くんが、話しかけてきた。
「紫月も言っていたけど、あのプロジェクトはもういいの? 紫月は、理恵さえ良ければ、一緒に仕事がしたいって言っていたよ」
(紫月さん──)
私は、微笑んで応えた。
「あのプロジェクトは、みんなを幸せにしたかったから考えたの。私が偉くなりたかったわけじゃないよ。それに──」
私は多分、誰もが認めるような業績を示せば、私という人間も理解されて、受け入れて愛してもらえると思い込んでいた。
だから自分から、あのプロジェクトのことを田村部長に話してしまったのだろう。
でも今は──九条くんがいる。
「紫月さんと明日美ちゃんの手で、私の夢がどのように実を結ぶか、静かに眺めていたいの」
あなたと一緒に。
私は心の中で、そう呟いた。
そして日が暮れたら、ディナーの時間。
ディナーは、ショッピングモールで買ったロブスターと牛のバックリブを、九条くんが庭に備え付けられたバーベキューグリルで、香草と一緒に焼いてくれた。
それにたっぷりのグリーンリーフと、色とりどりのフルーツ。
九条くんと私は、ビールで何度も乾杯した。



