もしもあのモヤがしおりではなかったら?


しおりではないなにかを呼び出して、それが形になろうとしていたら?


「そんなわけない!」


ブンブンと強く首を振ってその考えをかき消した。


わたしたちはしおりのためだけにここまでやってきたんだ。


あのモヤが別人だなんて、そんなはずがない。


どうしてそんな変なことを考えてしまったのだろうと思うと、コックリさんが原因だった。


コックリさんとは基本的に狐の霊を呼び出す儀式だと言われているけれど、呼び出してしまっているのは近くにいる、彷徨っている幽霊だという人もいる。


もし今回の儀式でも似たようなことが起こっていれば、わたしたちは一体なにを呼び出してしまっているのか……?


考えて背筋が寒くなった。


もしもしおり以外のなにかを呼び出してしまっていたら?


その後、その人が帰ってくれなかったら?


嫌な想像はどんどん膨らんでいく。


わたしは想像を振り払うために大きな音で音楽を流し始めたのだった。