それから一、二週間経ったある日。

今日は仕事を早めに終わらせて早く帰る予定だ。

その通り六時に終われるまでに仕事が落ち着き、PCの電源を切る。


会社全体で動いている大きなプロジェクトも安定して、今日は金曜日だからなのかもうかなりの人が帰っていた。



「先輩、終わりました?一緒に帰りません?」


鵜飼くんがスキップでもしてるのかと思うほど足取り軽く、私のとこまでやってきた。


「うん、いいよ」

「よかったー。俺、先輩に言いたいことがあったんです」


「言いたいこと?」

「はいっ。今日、帰りにご飯いけないかなーって」



私は、荷物をカバンに入れる手を止める。

……今日は、今日は。

私は顔を上げる。


「ごめんね。今日は予定があるから……」


……実現するか分からない、予定。

少し残念そうな顔をして、鵜飼くんは言った。


「……そうですか。じゃあ、家までは一緒に帰れますか?」

「……うん。家までは、一緒に帰れるよ」



鵜飼くんは残念そうな顔を一変させて、にこっと笑った。