今日も一緒に帰ろう

右手に持っていた荷物を持ち上げて立ち、靴を履く。

けれど寝起きだからか、靴を履いた瞬間ふらっとよろける。


「わっ、先輩!」


「ごめんなさい、ごめんなさい、鵜飼くん……」


背を向けているから分からないけど、声は明らかに涙が混じってた。


今は目の前の先輩を抱きしめたい。

そう思った。



「謝って離れるなら、俺のそばにいて」


ぎゅっと、その愛しくて小さな身体を後ろから抱きしめた。

言うつもりのなかった言葉は口から出てて、本心なのだと思う。


「鵜飼くん……」

「そのままで聞いてて下さい」



俺は先輩が頷くのを確認して、両手を離して解放する。