今日も一緒に帰ろう

私は苦しかったものを吐き出すように、今までのことを全て話した。


「でも、何にも行動できなかった私が悪いの。これは私の招いた結果だから……」


「……先輩、俺許せないです」



こんな面倒くさい先輩の話なんか聞かされて嬉しい後輩なんかいない。


こんな情けない先輩なんて先輩じゃないし、人間としてどうしようもないもの。



「ありがとう、鵜飼くん。今日は遅いから、帰ろう？」

「……先輩は、どうするんですか」



思わぬ返答に、びっくりする。


「私、は……。ホテルに泊まるよ」



今ならまだ部屋が取れるかもしれない。

再びスマホを取り出そうとすると、その手をぎゅっと握られた。



「先輩、バカじゃないの？」


いつもの鵜飼くんからは考えられない低温の声が響く。


「もう、ホテル取れないかな……？」

「そういうことじゃない。こんな先輩一人にさせられない」



目が合い、逸らせなかった。

また私は鵜飼くんの腕に包まれる。


「俺は、先輩を傷つけたその男を許さない。絶対」



力は一層強くなり、隙間がないくらいだった。


「今日は、俺のそばにいてください」