どれくらいそうしていたかは分からないけど、かなりの時間がたったと思う。


「大丈夫だよ。ありがとう」

「……よかった」



抱きしめられていた手が離され、ずっと握っていたスマホをカバンの上に置いた。


隣に座っていた鵜飼くんが、真っ直ぐこちらを見つめてくる。

心臓がどきっと音を立てた。


「先輩……」


そう一呼吸置いて、口を開いた。



「何があったのか、教えていただけませんか……?」