四ノ宮家は当主を必ず京都に置くという慣わしがある。 朔埜の弟は四ノ宮家の正妻の息子だ。恐らく父は、その息子に東京の仕事を渡したいのだろう。 その為に朔埜を京都に縛りたい。 なんだと思った。 けれど、 『お前は誤解している』 朔埜の心を見透かしたように祖父が笑った。 『四ノ宮は、京都が一番強い』 朔埜には祖父の言わんとしている事が分からなかった。 少なくともその時は。