京都若旦那の初恋事情〜四年ですっかり拗らせてしまったようです〜


「──で、その子が丁度しおちゃんと歳が近いから、名前を借りて侵入しましょ。別に難しい事は無いわ。ただ他に付き合っている人がいないか、人柄を簡単に見聞きしてくるだけでいいんだから」

 うきうきと声を弾ませる母になる史織は内心で唸る。
 どう考えてもややこしい話に巻き込まれている。
 潜入捜査(?)なんて無理だし、浮気調査(?)なんてもっと自信がない。
 でも……

「どうしようかな〜、しおちゃんが行かないんなら……そうだ、直樹(なおき)に頼もうかしら? 直樹ならノリがいいから付き合ってくれそうな気がするのよね〜」

「だ、駄目! やる!」