「ちょっと待って、何それ。誰よ?!」
突然出てきた見知らぬ人物の名前に頭がさっぱりついていかない。ついには混乱に声を張る。
「だから〜、美鶴の元旦那の妹──の、娘さん。彼女も結婚して苗字が変わってるから、その娘さんまで辿り着かないと思うの」
「えーと」
だからと言われても。何故こちらが物分かりの悪い人みたいな扱いをされているのか分からないが……
構わず話を続ける母に頭を抱えたくなる。
「美鶴叔母さんに離婚歴があるのは知ってるけど……」
「うんそう、でね。あの子ったら、その元ご主人の妹さんと仲が良くてね、今も交流があるらしいのよ」
「そうなんだ、それは凄いね……」
この一言に尽きる。
普通そんな間柄、気まずくなりそうなものだけど。
しかし美鶴叔母さんという人を思い浮かべ、彼女ならそんな人間関係も築けそうだなと、妙に納得してしまう自分もいる。



