京都若旦那の初恋事情〜四年ですっかり拗らせてしまったようです〜


「まあ、そうやけど」
「うっ」
 特に否定せず。
 うっすらと笑みを刷き、朔埜は首を傾げてみせた。その余裕のある仕草に何だか緊張してしまい、悔しく思う。
 さっきまでは可愛かったのに……

「お前は俺がたまたま見かけた場面で泣きそうな顔をしていたな」
 しかも、どうやら朔埜が覚えているのは、自分でもどうしようもないところのようだ。

「それを見て俺は腹が立ったんや……一人で立ってても、泣いてりゃ誰かが助けてくれるお前にな……けど、」
 言いにくそうに口を開けては閉じて。諦めたように一つ息を吐く。

「──それでも俺に気遣うお前を見て、恥ずかしく思ったんや。弱いくせにとも思った。それと同時に何ていうか、心が……自分の心が広くなったように感じた。……俺もこうなりたいと、あの瞬間、俺はお前に憧れを抱いたんや」