京都若旦那の初恋事情〜四年ですっかり拗らせてしまったようです〜


 ──まあそれはさておき。そんな麻弥子のお見合い相手は、千田のパワーバランスを保つ為の大事な婚姻の一つ。
 そのお見合いに自分が何の関わりがあるというのだろうと首を傾げる。だがそんな史織の疑問は母の一言で吹き飛んだ。

「結婚相手のリサーチよ!」
「……嫌です」
「ちょ、即答禁止〜!」
 眉を下げ情けなさそうに母が言う。
 史織はそんな母を腕を組んで睥睨した。

「だって、どうして私が? そんなの調べてくれる人なんて千田家にいるでしょう?」
「えーと、それが……」
 もにょもにょと口篭る母に眉根を寄せる。

「何でもそのお相手のお家が、ガードの固くて有名らしくてね。玄人だと難しいって言ってたのよー」
「……」

 玄人で難しいのをどうして素人ならいけると思ったのだろうか……
「お母さん」
 史織は手を腰に当てて、じろっと母を睨みつけた。
「あ、しおちゃんの怖い顔。お母さん嫌だな〜」
 なんて言われても誤魔化されるつもりはない。