史織が知ってるのは、祖父の会社がニュースで名前を聞くくらい有名な事と、年始の挨拶に行くと親戚以外にも色んな人がいて、囲まれるとあれこれ構われ非常に居た堪れない、という事。
……因みに彼らは「千田」と名乗ると目の色が変わるが、父の名前を聞くと途端に興味を無くす。
今は父の長兄と次兄がホールディングスのトップで会社を回していて、ちょうど彼らの子供たちの中で後継を誰にするか、なんで話合いが行われているとか何とか。
彼らの婚姻は後継問題にも左右されるから、親達も慎重なのだ。
そんな中で史織の従姉、麻弥子の縁談。
麻弥子は父の長兄の三人目の娘だ。史織と歳は離れていないが、大して仲良くもないのだけれど……



