音を立てないように、するすると廊下を歩いて行く。 「覚悟、か」 朔埜の立場では文句を言うのも当然の話だ。 見合い相手の家の者が、探りを入れに家に入り込んだのだから。 ……庇って貰ったと、嬉しく思っていた気持ちが消沈していく。 朔埜が知っているなら、自分から謝りに行くべきだろう。昨夜確認しておいた朔埜のスケジュールを思い出し、史織は四ノ宮のパーティーが開かれる会場へと足を向けた。