京都若旦那の初恋事情〜四年ですっかり拗らせてしまったようです〜


 史織も一緒にぽかんとする。
 痙攣しながら動けなくなった藤本は恐らく重体だ。けれど……そちらなど構ってられないとばかりに他の男たちが慌てて弁明をし始めた。
「何だよ! 俺たちは客だぞ! 客に何してんだ、どうなってんだよ、この旅館!」
「そ、そうだぞ、俺たちが何したって言うんだよ!」

 焦った男たちが掴んでいた腕を離し、史織を突き飛ばす。
 よろめいた身体は朔埜が受け止めてくれた。
 その目が痛ましく細められ、そういえば自分は地べたに転がっていたのだと思い至る。さぞや酷い格好をしているのだと恥ずかしく、情け無い気持ちになってくる。
 項垂れる史織を背後に隠し、朔埜は声を張った。

「こんな場所でうちの従業員を複数で囲んで、あなた方が何をしていたのか、聞かずともがなでしょう」