罪悪感とさらなる興奮で、いよいよ鼻からの出血量がピークに達し、ぼたぼたと彼の肌を汚し始めた。
さすがの彼も血相を変える。
「うわぁあー!お、おいおいおい!大丈夫か?」
彼は自分のシャツの袖を指で摘まんで、何のためらいもなく私の鼻に添えた。
「は、はいひょぶ」
私も両袖を引き伸ばし、片方で鼻を拭い、片方で彼に落ちた血を拭う。
「自分で拭くからいいって。あんたのシャツまで汚れるだろ」
「……へも」
「でもじゃねぇ」
ゴシゴシと血をふき取り続ける私を見て、彼がのっそりと後ろ腕を支えに上体を起こそうとする。
「取り敢えず、頼むから俺の上から降りろ」
「あ」
切実な声音でそう言われて初めて、彼の上に跨り続けていたことを思い出した。
(そりゃ、覆いかぶさってれば鼻血も落ちるわけだわ。ほんとに頭に血が上ってたのね)
のっそりと、彼の上から腰を上げて降りようとする。丁度その時。
ガラガラ、と。なんの前触れもなく病室の扉が開いた。
そして、
「あ、お邪魔しました」
ひょっこりと顔を出し、私たちの様子を見たその人物は、そのまま気まずそうに眼を逸らし、取って返して立ち去ろうとした。
いまだ私の下にいるまどかが、大慌てで声を上げた。
「待て待て!どこ行く大和!」
「引き留めてくれなくていい。大丈夫だ。俺は偏見なんて持たない。例えお前が、下にいることが好きな血まみれプレイ専門の変態でも。……大丈夫さ。俺らの友情は不滅だ」
ふっと大人びた微笑みを浮かべ、握りこぶしに親指だけを立てると、彼は再び颯爽と出ていこうとする。
「待てって言ってるだろ!お前、絶対勘違いしてる!」
「安心しろ。俺はこの目で見たものだけを信じている」
「ふざけんな!ますます不安しかねぇわ!」
