数日後。
 やはり気になった私はランプを見るだけでもさせてもらおうと、もう一度同じ道を通りランプの店の近くへ向かった。

 まだ私の下校中である夕方。
 しかし今日この道には、この前よりも人がいない。

(前はもう少し人が通っていたのに…)

 そう思いながら私は店が見えるところまで近付いていった。


 店内には、この前の店主らしい男の人と、お客さんらしい女の人。

 あんな小さな店に二人もお客さんが入ったら邪魔になるかもしれない。
 そう思った私はしばらく、先のお客さんの邪魔をしないようそちらからは見えないような場所で待ってみることにした。

 誰も通らない道。
 店すぐ近くの自動販売機のお茶を片手に店の中を見る私。

 すると、店の中であの男の人が、灯りの付いていない一つのランプを女の人の前に取り出したのが見えた。

(女の人、あのランプを買うのかな?)

 私がそう思った次の瞬間、女の人はランプに吸い込まれるように消えていくのが見えた。
 そして男の人が持ったランプは電気も火も点けていないのにスッ、と明かりが灯る。

 私はゾッとして後ずさった。

 男の人は優しそうな笑顔を歪めてニヤリと笑う。


 私は転がるように走って駅へ向かった。

 あのランプの明かりはもしかして、あの店に入っていったお客さん達の……

 私はもう二度と、あの道を通らないことに決めていつもの道を通い続け、大学を卒業してからはあの街とは疎遠になった。

 まだあるのかは分からない。

 『命の灯火』が灯る、あのランプの店が…