そして少年は袋を背負い、老人は荷車を押して二人で歩き出した。

一軒の家の前で老人が手を掲げると、持っていた色とりどりなリボンに包まれた綺麗な包みがキラキラと光り、一つ消えていく。

少年は驚く。

「どうしてきえたの!?」

「プレゼントが、渡す相手のもとに行ったんだよ。本当なら顔を見て渡したいんだが、今日は時間が掛かってしまったからね。」

老人は困ったように笑った。


近辺の家を一軒ずつ周り、それを繰り返す。
一つだけでなく、時にはいくつか消えるときもあった。


「おじいちゃんは、なぜ包みをくばっているの?」

少なくなっていく荷物を見ながら少年は老人に問いかけた。

「お礼なのさ。」

「おれい?」

少年の言葉に老人は頷く。

「私がこの不思議な力を使っていられるのは、愛のおかげなんだよ。」

老人は包みを家に届けながら続ける。

「毎年、私の家から人の住む街まで来られる。今日は友達はいないけれどね。そして無事にプレゼントが届けることが出来る。これ全てだ。人々の愛のおかげさ。だからプレゼントをするのさ。今日は君も私の手伝いをしてくれている。私は君がいてくれて、とても嬉しいよ。」

老人は振り返る。

「…さて、お手伝いをありがとう坊や。このあたりは全部回ったよ。すぐに次の街に行かなければね。君にはこれを…余分に作ってきて良かったよ、はい。」

老人はそう言って少年に小さなプレゼントを手渡した。

「これ…」

「きっといいことがあるよ。」

しげしげと手の中の包みを見つめる少年に笑い掛けると、老人はもう一度彼の頭を撫でた。

「次はきっと君の分を忘れない…今日のように、ずっといい子でいるんだよ。そうすれば何か良いことが起きるはずだ。またね。」

気付けば老人は荷車ごと消えていた。
少年は雪の降る道の端に立ち尽くして。