「私も……、下の名前で呼んだ方がいいかなぁ?」
ふと湧き上がった疑問を口に出す。
すると原くんは、うーんと考え込むような顔をして答えた。
少し困ったような表情をしているように見える。
「うーん、俺、慶大って名前あんま好きじゃないんだ」
「どうして?」
「俺の父ちゃん慶応大卒で、母ちゃんが早稲田大卒なの。
それで、賢い子になるようにって慶大。ちなみに兄貴は早大。
ウケるでしょ? 全然賢くないしさ」
「ふふっ。ごめん、ちょっと面白かった」
「賢ければまだいいよ!? 俺の通知表、2と3ばっかだし」
「寝てばかりいるからでしょ?」
「そーでした」

