すっかりその存在を忘れていた線香花火に火を点けて、私たちは並んで地面に座った。 原くんは何本かまとめて点けていて、ぱちぱちと結構な明るさの光が燃えている。 私の持っている方は、蛍みたいにぽてっと光っていた。 「ねえ、高屋」 「なあに」 「……亜季って呼んでいー?」 びっくりした。 嬉しくて顔がにやけそうになるのを抑えて、彼の方を見る。 線香花火に照らされたきみの顔は真っ赤で、照れているみたいで。 私はそれが嬉しくって、思いっきり首を縦に振りながら「うん!」と叫んでいた。