「あれっ。横のふたつ、打ち上げじゃないの?」
「みたいだね」
「なんだぁ」
「でも、ロケット花火ぱひゅーん、出来たね」
私がそう言うと、原くんは満面の笑みで、「だな!」と答えた。
ロケット花火が終わって、辺りが静寂に包まれる。
波が打ち寄せる音だけが、心地良く響いている。
繋いだ手にぎゅっと力を込められて、私はまた熱に包まれた。
胸がきゅうっとなって、またキスされるのかななんて、期待してしまう。
原くんの方を見られずにいると、彼が思い出したかのようにつぶやいた。
「あ、線香花火」
「あ、残ってるね」
「しよっか」

