原くんがそんなことを言うから、私の胸はまたドッドッと音を立てた。
胸の奥がひゅんってなって、何も考えられなくなる。
昔の港だと言うのに街灯はしっかり点いていて、顔が赤いのも分かっちゃうなと思った。
きっと今、真っ赤だと思うから。
「手持ち花火からやろ」
「うん」
私が先に花火を選んで、原くんがライターで火を点けてくれる。
ぱちぱちっと緑色の光が飛び出てきて、今度は彼の手持ち花火に火を移した。
そうして何度も移し合いっこをして、花火をつけていく。
緑、赤、ピンク、黄色。
さっき夜空に会った花火よりも小さいけれど、近い位置にある光はとても綺麗だ。
真っ暗な海が波打つのが分かるほど、辺りを明るく照らしてくれる。
手持ち花火はあっという間に終わって、残った三つのロケット花火を原くんが並べて立てた。

