かき氷を受け取ると、私たちは河川敷の階段になっているところに座った。
広い階段は観覧席のようになっていて、見物客はみんなここから花火を鑑賞する。
席が埋まる前にどうにか空席を見つけ、花火がバッチリ見えそうなスポットを確保した。
原くんは、隣でしゃくしゃくとかき氷を食べている。
私はかき氷をストローでつっつきながら、人の波を見た。
空は段々と藍色に近づいている。
もう数分もすれば、夜空の出来上がりだろう。
人ごみの中に佐々木さんと優里を見つけて、一瞬体の動きが止まった。
みんな、友達同士で花火を見に来ているのだろう。
原くんがいなかったら、今年は一緒に花火を見る友達もいなかった。
ひとりぼっちで、家から見える花火を寂しく見つめていたんだろうな。
そう思うと、本当に原くんに救われてるんだなあって思う。
だって、今年の夏はとっても楽しい。
夏、まだ始まったばかりなのにな。

