「あ、かき氷あったよ」
原くんがかき氷の屋台を指した時には、すっかり『一年生の時と同じ原くん』に戻っていた。
彼に手を引かれて、かき氷の屋台へと急ぐ。
後ろから小さい子が、「ママ金魚買って~」と叫んでいるのが聞こえた。
まただ。
さっきの原くん。
時々見せる、あの冷たい瞳。
あれは一体何なんだろう。
「高屋、どうかした?」
彼の低い声が降ってきて、はっと我に返る。
「あっ、ううん。何でもないよ」
「りんご飴でかすぎて、腹でも痛いかと思った」
原くんがあまりにも無邪気に笑うから、私もつられて笑う。
何事もなかったかのように、私たちはかき氷の列に並んだ。

