会場に着くと、ふたりで露店を見て回った。
土手の下の広場になったところに、露店がひしめき合っている。
すでに行列を作っているお店もあった。
「高屋、何か食いたいもんある?」
そう聞かれて、きょろきょろと当たりを見回す。
少し先に、大好きなりんご飴の屋台が見えた。
「あ、りんご飴!」
私がそう言うと、原くんはりんご飴の前まで連れてってくれて、「どれがいい?」と聞いてくれた。
赤い大きなものから、緑色のもの、小さなりんごを使ったカラフルなものまである。
「んーと、これ」
私は、赤くて大きくて、一番キラキラしているりんご飴を指した。
すると原くんはジーパンのポケットから財布を取り出して、「これひとつ」と注文してくれた。
原くんがお店の人に五百円玉を差し出す。
私が選んだひとつを受け取った原くんは、「はい」と満面の笑みでそれを渡してきた。
「ん、これは俺の奢り」
「いいの?」
「うん。高屋にはかき氷奢って貰うから」
なんて、勝手に私も奢ることになってる辺り、面白すぎる。
一年生の時の。ひょうきんなことを言ってみんなを笑わせてた原くんだ。
「ありがとう」

