「例えば、河川敷を自転車二人乗りで駆け抜けるとか」
そんなことを言うから、つい吹き出してしまった。
「ふふっ」
「何!? 俺変なこと言った!?」
「原くんって結構ロマンチストなんだね」
「そうなのかも」
私がお腹を抱えて笑うものだから、原くんはほっぺたをぷくっと膨らませて。
「高屋が俺のことからかう~」とか言いながらも、ロマンチストなのは認めてて。
それがおかしくって、私たちふたりで笑い転げた。
「じゃ、チャリ取りに行こ!」
「先輩の家?」
「ううん、俺んち!」
原くんのうちだなんて聞いて、私の胸はどきんと高鳴る。
自分のことをあまり話さない彼のプライベートに触れられるんだ。
彼女だけの特権のような気がして、なんだかこそばゆかった。

