原くんの瞳が、空を見る。
もくもくと浮かぶ入道雲を見つめるその瞳はどこか寂しそうで、悲しい色をしていた。
一年生の時とは違う、最近の原くんの瞳だ。
「ねぇ、原くん。どこか遠くに行きたいなぁって、そう思うことない?」
原くんの瞳にどこか親近感を覚えて、いつも心の奥で思っていることをぽつりとこぼす。
けれども原くんはその問いには答えずに、はっと我に返ったような顔をして、口を開いた。
びゅうっと生ぬるい風が吹いて、原くんの金髪をなびかせる。
「……高屋、楽しいことしようぜ。もうすぐ夏休みじゃん?」
「楽しいこと?」
「花火大会にカラオケ、ボーリング、花火もしたいな。
ロケット花火、びゅーんって。ふたりで思い出を作るってどう? 楽しそうじゃない?」
そう言って笑う原くんは、また一年生の時と同じ顔に戻っていて。
瞳をきらきらと輝かせていた。

