「先生……、やっぱり私戻ります」
ざわつく心を抑えながら、ベッドから身体を起こした。
真っ直ぐ立ち上がりカーテンを開けて、乱れた髪を手櫛で直す。
「あら、大丈夫? ひとりで戻れる?」
「はい」
「始業式、まだ終わってないと思うから。もう少しゆっくりして行けば?」
「大丈夫です」
心配する先生に挨拶をして、保健室を出た。
始業式の途中なだけあって廊下はしんとしていて、誰も歩いていない。
職員室の前を通りすぎ、廊下の途中から右に伸びた渡り廊下を歩いた。
体育館はこっちの方向じゃない。
渡り廊下の先には教室棟がある。
教室棟に入ると階段を昇って、二年一組の前に来た。
もちろん教室には誰もいない。
そこを通りすぎ、一番居心地のいい教室へとたどり着いた。
あさがお五組だ。

