お母さんが帰ってしばらくすると、おばあちゃんがデイサービスから帰ってきた。
その頃には風がびゅうびゅう吹いていたので、慌てて庭のものを玄関にしまって、雨戸を閉めた。
自転車を駐輪場の柱にくくりつけた辺りで、ぽつぽつと雨が降り始めた。
どうやら本当に台風は直撃するみたいだ。
お姉ちゃんが帰ってくる気配はないので、三人分の簡単な夕食を作っておばあちゃんの部屋に持っていった。
するとおばあちゃんは、私の目をじっと見てまた変なことを言った。
「誰か来てたんかい?」
どきっとして、私は「ううん」と嘘をついた。
おばあちゃんの少し濁った瞳がじっと私を見て、ごにょごにょと何かをつぶやきはじめる。
風が雨戸を叩く音がうるさい。

