その時、一階からガラガラと玄関の開く音がして、「ただいま」と声がした。
この前四者面談で会った、おばあさんらしき人の声だと思う。
「あー、ばあちゃん帰ってきた」
原くんがそうつぶやくと同時に、下から「慶大ー! お友達来とるんか?」と叫ぶ声がする。
彼が返事をする前に階段の音がギシギシと上がってきて、おばあさんがひょこっと顔を覗かせた。
「あら、女の子。こんにちは」
「おっ、おじゃましてます! 原くんと同じクラスの高屋亜季です」
挨拶をされて、条件反射でかしこまった挨拶をしてしまう。
「可愛い子ねえ。ゆっくりしていってねぇ」
「はい。ありがとうございます」
私とおばあさんが会話していると、原くんは拗ねた子どもみたいな表情になって口を開いた。
「今勉強してるから、ばーちゃんジャマしないで」
そう言っておばあさんを追い返す原くんが、子どもみたいでなんだか面白い。
おばあさんは「はいはい」と言って一階へと降りていった。
おばあさんとは随分仲が良さそうだ。

