珈琲と花の香りの君




マンションの玄関ホールまで見送ってくれた2人に手を振って、歩き出した俺たち。



ふんわりした霧雨が、2人を包んだ。



まとわりついてくる水分は、決して不快ではなく、優しい。



そんな中を、傘を差しながら寄り添って歩いた。



「雨の中を、こうして傘を差しながら、たかさんと歩くなんて初めてだね。」



俺を見上げながら、呟くように囁いた珠利ちゃんに、愛おしさはつのる。



珠利ちゃんのアパートまでゆっくり歩いて10分の距離。



なんだか、優しくも切ない10分だ。