珈琲と花の香りの君




「…及川さん、あた…し…」



消え入りそうな珠利ちゃんの声は、深く俺に染み込んだ。



「…及川さん。…して…。」



またも呟く珠利ちゃん。



その声は震えていて、痛々しいほどだ。



「…おいかわさ…」



言いかけた珠利ちゃんのくちびるを優しく塞いだ。



「珠利ちゃん。今日はこのまま寝よう。」



言った俺に、ちいさな子どものように首を横に振って、いやいやをする。



どうして君は、俺の心を揺さぶるんだろう。



そんなちいさな仕草のひとつひとつが、俺を君から離れなくさせる。