ライアスの静かな一声に騎士達は一斉に動き、ルーベルトとアリアーナそしてロジャースを拘束した。
「ロジャース・カルカロスとルーベルト・エルグランド。貴様らは、流行病に乗じて女王の王配数人を殺害した疑い。それに留まらず女王ですら遅効性の毒をもって弑虐し、私にも幾度となく刺客を差し向け、さらなる殺人を企てた証拠がある」
ロジャースが青筋を立てて異議を申し立てようと口を開きかけるが、騎士に上から押さえつけられ封じられた。
完全に不利な状況だと判断したアリアーナは、瞳いっぱいに涙を溜めて上目遣いでライアスを見上げた。
「……こ、皇帝陛下っ! 私は、なにもッ、何も知らなかったのです……っ! どうか、慈悲深い御心で私だけでもお許しください……ッッ!」
アリアーナはどういう顔が自分を一番魅力的に見せられるかを熟知していた。相手の比護欲がくすぐられる角度で睫毛を震わせ静かに涙を流す。
大きく開いた胸元から覗く見事な胸が、アリアーナが泣きながらしゃくり上げるたびにぷるぷると揺れる。これに陥落しない男などいないだろう。
目の前の男以外は。
「……アリアーナ・ハートナー。貴様の父マルクス・ハートナー子爵は他国と通じ、戦争を故意に長引かせた外患誘致罪に問われている。事を精査し罪が明らかとなればハートナー家は取り潰しとなり、一族連座となるだろう。三人とも罪を白日の元に晒すまで地下牢にて過ごすがよい」
ライアスは温度のない声で命令をくだし、騎士達は抵抗する三人を引き摺って、ホールを後にした。
三人の叫び声が遠くになると、会場は水を打ったように静かになる。そのタイミングで、ライアスは再び口を開いた。
「──皆の者ッ!! 聞いての通り、私が今後のエルグランド皇国を導く第十八代皇帝に即位したライアス・エルグランドである。異議のある者は名乗り出よっ!!」
ライアスの腹から出す怒号にも似た声は、会場の隅々まで届く。この声で、十年間戦線を統率していたのだろう。
そして、異議を唱える者はいなかった。
「後日、盛大な戴冠式と我が婚姻の儀を執り行い皆を招待する。今回の騒ぎの非礼を詫び、皇宮全体をあげてもてなす予定ゆえ、本日はこれにて下がらせてもらう。──アルフレッド、あとは任せたぞ」
「はっ!」
侯爵であり騎士団長であるアルフレッドが、ライアスへと最上礼をとった後に、その場にいた全ての騎士がライアスに向けて一斉に忠誠の礼を示した。それに倣い、次々と貴族が頭を垂れていくのを見てから、ライアスはルディアの腰を強めに抱いて、奥の皇族専用の居住区へと消えたのだった。
「ロジャース・カルカロスとルーベルト・エルグランド。貴様らは、流行病に乗じて女王の王配数人を殺害した疑い。それに留まらず女王ですら遅効性の毒をもって弑虐し、私にも幾度となく刺客を差し向け、さらなる殺人を企てた証拠がある」
ロジャースが青筋を立てて異議を申し立てようと口を開きかけるが、騎士に上から押さえつけられ封じられた。
完全に不利な状況だと判断したアリアーナは、瞳いっぱいに涙を溜めて上目遣いでライアスを見上げた。
「……こ、皇帝陛下っ! 私は、なにもッ、何も知らなかったのです……っ! どうか、慈悲深い御心で私だけでもお許しください……ッッ!」
アリアーナはどういう顔が自分を一番魅力的に見せられるかを熟知していた。相手の比護欲がくすぐられる角度で睫毛を震わせ静かに涙を流す。
大きく開いた胸元から覗く見事な胸が、アリアーナが泣きながらしゃくり上げるたびにぷるぷると揺れる。これに陥落しない男などいないだろう。
目の前の男以外は。
「……アリアーナ・ハートナー。貴様の父マルクス・ハートナー子爵は他国と通じ、戦争を故意に長引かせた外患誘致罪に問われている。事を精査し罪が明らかとなればハートナー家は取り潰しとなり、一族連座となるだろう。三人とも罪を白日の元に晒すまで地下牢にて過ごすがよい」
ライアスは温度のない声で命令をくだし、騎士達は抵抗する三人を引き摺って、ホールを後にした。
三人の叫び声が遠くになると、会場は水を打ったように静かになる。そのタイミングで、ライアスは再び口を開いた。
「──皆の者ッ!! 聞いての通り、私が今後のエルグランド皇国を導く第十八代皇帝に即位したライアス・エルグランドである。異議のある者は名乗り出よっ!!」
ライアスの腹から出す怒号にも似た声は、会場の隅々まで届く。この声で、十年間戦線を統率していたのだろう。
そして、異議を唱える者はいなかった。
「後日、盛大な戴冠式と我が婚姻の儀を執り行い皆を招待する。今回の騒ぎの非礼を詫び、皇宮全体をあげてもてなす予定ゆえ、本日はこれにて下がらせてもらう。──アルフレッド、あとは任せたぞ」
「はっ!」
侯爵であり騎士団長であるアルフレッドが、ライアスへと最上礼をとった後に、その場にいた全ての騎士がライアスに向けて一斉に忠誠の礼を示した。それに倣い、次々と貴族が頭を垂れていくのを見てから、ライアスはルディアの腰を強めに抱いて、奥の皇族専用の居住区へと消えたのだった。

