「へぇ、すごいや! 羨ましいなぁ。それめっちゃ羨ましい環境だよ!」
「うちにベース、いっぱい置いてあるんだよ。あ、良かったら今度見に来る?」
そう口にして、はっと気づいた。
男の子を家に誘うなんて、なんてばかなことを言っているんだろう。
けれどもノゾムくんは、そんなことは気にしていないようで、にこにこと笑った。
「わぁ、是非拝みたいや。俺と花音ちゃんが出会ったのも、偶然じゃないかもしれないね」
そんな、今時少女漫画でも言わないような台詞を、照れもせずさらっと言えちゃうなんて。
この人はやはり、天然タラシなのかもしれない。
胸の奥がどきどきする。
この新しい気持ちがなんなのか、私はまだ分からなくって戸惑うばかりだ。
心臓の音が早まってどうしようもない。

