ゆるやかな茶色のくせっ毛。

幅広の二重まぶた。



笑うと少しえくぼが出来るんだな、ってことを、私は初めて知った。

だって今日は、こんなにも距離が近い。



胸の奥が高鳴る。

やはりそうだ。この気持ちは、初めて感じる何か。

きみは、初めての気持ちを連れて、私の前に現れた。



「それからね、面白いこと教えてあげる。この弦のこの音と、この弦のこの音は全く同じ音なんだ」



ノゾムくんが私の横に並んで、弦を見せるようにして音を鳴らす。



すごく近い、でもベースが私に触れないギリギリの距離にいて、彼の優しい声をすぐそばに感じる。



「ここの音と、ここの音も同じ。こことここも。ね、違う場所押さえてるのに、全く同じ音が鳴るの。不思議でしょ?」



ノゾムくんが得意気に、ヴォンヴォンと音を鳴らしてそう言う。

私も夢中になって、彼の手元を見た。