夕方の陽を浴びて、海がオレンジと水色、そして紫色のグラデーションを作る。
次第に夜が近づいていく街に、ぽつぽつと明かりが灯りはじめるのが分かった。
公園のイルミネーションがちかちかと輝きはじめる。
遠くでは、夕方五時を告げる鐘が鳴り響いていた。
「そっか。花音ちゃんは自信がないんだね」
ひと呼吸おいて、ノゾムくんはそう言った。
自信がない。
まさにそうだ。
歌詞のことだけじゃない、全てにおいて私は自信がない。
「ドジだし、人に迷惑ばかりかけちゃうし。おまけに泣き虫で弱虫で、怖がりで。こんな自分が、私は全然好きじゃないんだぁ」
乾ききれないうちにまた溢れてきた涙といっしょに、ぽつりと弱音をこぼす。
周りのイルミネーションが赤や緑に点滅して、私の顔を照らした。
泣いて赤くなった鼻は、きっともっと赤くなっているんだろう。
一瞬間があいて、ノゾムくんが身体ごと私の方を向いた。

