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「すみません! 遅れました! ……ほらノンも」
「すっ、すみません、遅刻しました! 本当にごめんなさい……」
息を切らして中庭に着いた時には、美化委員の人たちは数人しかおらず、枯葉のほとんどがゴミ袋に詰められた後だった。
山本さんに促されて、私も深く頭を下げる。
下を向くと、堪えていた涙がぽつりと零れて地面に模様を描いた。
「……はあ。中庭はもういいから。
体育倉庫に、文化祭で使った段ボールが置いてあるの。それをゴミ置き場に移す作業をしてるから、平さんはそっちに回って。
山本さんはそこの袋をゴミ置き場に持ってって」
美化委員長だと思われる三年生はそう言って、先日ライブが行われた第一体育館の方を指した。
運動部の多くが水曜日は休みらしく、体育館はしんとしていて、周囲に何人かの美化委員の姿が見えた。
他の委員さんたちは、重そうな段ボールをいそいそと運んでいる。
山本さんが深く頭を下げて、ささっとゴミ袋の方へと駆けていった。
私も先輩にぺこぺこと頭を下げて、体育倉庫へと急いだ。

