「ノン、いる~!?」
そんなことを考えながら浮かれていた私の目の前で、部室の扉がぴしゃりと開く。
飛び込んできた音は、クラスメイトの山本さんの声だった。
「ノン、今日美化委員、中庭清掃だよ!? もうみんな作業始めちゃってるよ~!」
「へっ!?」
私と共にクラスの美化委員を務める山本さんは、校内中探し回りましたという顔でそう言った。
咄嗟にイヤホンを引っこ抜き、音楽プレイヤーを止める。
窓の向こうの中庭を見下ろすと、体操服姿の美化委員たちが枯葉を拾っている様子が見えた。
「ひぇえ!? ごっ、ごめん忘れてた! ど、どうしよ、体操服持ってきてないよぉ!」
「もう制服でいいから! 先輩たち怖いから早くいっしょ行こ!」
「わーん! 直ちゃん、先帰っててぇ~!」

