鞄の奥、小さな巾着の中から、音楽プレイヤーとイヤホンを取り出す。
電源を入れて、私はそっと目を閉じた。
本当は学校には持ってきちゃいけないものだけど、部活に使うという理由で梅田先生に持込許可を申請していた音楽プレイヤー。
その中には、CDから録音したブラックコーヒーの新曲の音が入っている。
ギターとドラム、それからベースの音が鳴る。
爽快なイントロに、キーボードの音が乗っかった。
私はベースの重低音を意識して追う。
彼が作ったベースラインは、とても心地が良い。
身体の奥が弾ける。
私は音楽に乗っかるように、すらすらと筆を滑らせた。
心も身体もビートに乗って、弾け飛んでしまいそうだ。

