直ちゃんにだって話したことのない気持ちを口にして、私は自分の心の整理ができたような気分になった。
私の心のうちを初めて聞いた直ちゃんは、やっぱりびっくりしているみたいだったけど、うんうんと頷いてにこりと笑った。
梅田先生が、私の肩をぽんと叩いて言う。
「すごいじゃん。平さんが感じた気持ちを、歌詞にこめてみたらいいんじゃない?」
「感じた気持ちかぁ。ファンの子たちには、ラブソング作ってって言われてるみたいなんだけど。私そっちは専門外で」
「あれ? 世界でいちばん素敵なノゾムくんに恋をしたんじゃなかったの?」
「直ちゃん! 違うから! 音! 音に感動したの、私は!」
直ちゃんが私をからかって、私はそれに反撃する。
違うなんて言いながらも、『恋』だなんて言われたらなんだか照れくさくて、私の身体はかあっと熱を帯びた。
やはり、今年は暖冬なのかもしれない。
今日だってタイツを履いてきていないのに、こんなにも身体が熱くてしょうがない。
直ちゃんはごめんごめんと笑って、それから私の方に顔を向けた。
「でもさ、本当ノンの詩すごい良いんだよ? 自信持って!」
「ありがとう」
幼なじみの直ちゃんにそう言われると、本当にすごい歌詞を書けるような気がしてくるから不思議だ。

