流れていた『テーマソング』が鳴り終わって、また同じ曲が最初から始まる。
それを合図にするかのように、集まっていた生徒たちは散り散りになって作業を再開した。
その場に残されたのは私と直ちゃん、アヤ、美羽の四人だけだ。
いくつかの段ボールを取り囲み、私たちも少しずつ作業に戻る。
「……それよりさ、ノン。文化祭の日、午後一時、空いてる?」
直ちゃんは周りをきょろきょろと見回すと、少し顔を赤らめてそう言った。
いつもきっちり羽織られている直ちゃんの紺色のカーディガンが、今日はちょっぴりだぼっとしている気がする。
それから、いい匂いがした。
肩のところで綺麗に切り揃えられた黒髪は、艶やかでしっとりと落ち着いている。
テーマソングがせつない旋律を奏で、私たちの上を通り抜けていった。
「うん。その時間は暇だよ。午前中は部誌を配らないといけないけど、すぐ終わると思うし」

