彼らの名前はパンフレットの三枚目にデカデカと載っていた。

一枚目は表紙、二枚目は校長先生や生徒会長のあいさつ文だから、彼ら『ブラックコーヒー』がこの文化祭の主役と言っても過言ではないと思う。

私はツルツルにコーティングされた紙をじっと見つめ、『曽根崎望』と書いてあるところを爪でつーっとなぞった。



美羽は彼のことを『普通すぎるんだよね』とか言っていたけど、全然普通じゃないと思う。

だってあんなに素敵な歌を作って、あんなに素敵な演奏をしてみせたのだから。



『普通』の人間は、あんな風に光の中に立ってはいない。

『普通』というのはそう、私みたいな――ううん、私は『普通』以下だな、と溜め息をついた。



文化祭のパンフレットには、曽根崎望という人が書いたらしいテーマソング、『群青、僕ら』の歌詞も載っていた。